先週、以下のブログを書きました。
https://www.blearnch.com/2022/06/01/1-5/
お子さまが、学校の授業を受けるときに意識してほしいことの一つ。効果的かつ効率的な学習を行うために【学習の転移】をどのように意識するかというお話です。
興味がある方はぜひご一読いただけますと幸いです。
先程のブログの中で、この二つの数式を例に挙げていました。
この二つの問題について私は、「6と3に違いがありますが、ほとんどの生徒は同じ解き方で解ける問題であると認識できるでしょう。」と書きました。
実際、ほとんどの生徒は苦もなくスムーズに進めることができます。
しかし学習支援をする中で、同じ解き方で解ける問題だと認識できない生徒もいました。
以下は私の失敗談です。
ここではその生徒をAさんと仮称します。
Aさんが先程例に挙げた二つの問題がわからないと質問してくれました。
私は、まずx(x+3)の解き方を解説しました。その解説でAさんは解き方がわかり、
x(x+3)の答えを出すことができました。
そして私は、「x(x+3)ができるようになったから、次のx(x+6)も同じように解けばいいんだよ」
と指導してしまいました。
しかしAさんは同じ解き方で解ける問題だと認識していないので、
(???)
(同じように解くってどういうこと?)
(全然違う問題なのに??)
(わからない!)
(この人は教えてくれない!!)
となってしまったのです。
そのようなことが積み重なり、Aさんからの信頼はなくなってしまい
その後、学習支援が出来なくなってしまいました。
自戒のためよく思い出すのですが、今も申し訳なさ、不甲斐なさでいっぱいで、大変苦い経験です。
過去の経験や既有知識を今の学習に転移させるには、過去の問題と今の問題の類似点と相違点をしっかり認識する必要あります。
そうしてはじめて類似点に既有知識を当てはめて処理する(同じように解く)ことができます。
前段ができていない状態で、後段をさせようとしても無理が生じてしまいます。
私の失敗はそこにありました。
お子さまの宿題や家庭学習をみるとき、
「(2)も(1)と同じように解いてみたら」
「やり方は一緒だから」
「得意な科目と同じように苦手科目も勉強してみたら?」
など声をかけてしまいませんか?
保護者の方が認識できている類似点と相違点を、お子さまが認識できていなければ、
お子さまは、かつてのAさんと同じように混乱して余計にわからなくなってしまう可能性があります。
そして、保護者の方は「なんでわからないんだ」と落胆され、終いには教えてもできない子なのだと思ってしまう可能性もあります。
実際は、教えてもできないのではなく、両者に認識のずれがあるだけなのです。
このような齟齬が起きないようにするためには、よく観察することが大切です。お子さまがどういう思考で問題に取り組んでいるのか、どこまで理解できているか、認識できているかを大人側が見極める必要があります。
その意識があれば声かけの内容が変わっていくはずです。
お子さま一人ひとり違いますので、この声かけをすれば万事OKということはありません。
この子にはどんな声かけが、あの子にはどんなフィードバックが良いか、私たちも日々試行錯誤しています。そしてそれを定期的に保護者の方へ共有しています。
塾でも、親子間でも、コミュニケーション齟齬をできるだけなくしていきたいと考えています。