毎年秋口になると、受験生の親御さんから必ず聞くワードがあります。
「うちの子まだスイッチが入らないんです。。。」
おそらく皆さんも聞き覚えのあるワードではないかと思います。
スイッチはそもそもあるのでしょうか?
そのスイッチは本人が押すのでしょうか?周りが押すのでしょうか?
Contents
やる気を起こす事と継続する事は別物
まず、スイッチはあります。
大なり小なり「よし、やろう!」と思う瞬間は必ずあります。
受験に限らず、日々の生活の中でも発生していると思います。
皆さんも1年の間に「よし、やるぞ!」となる瞬間が何度かあると思います。
勉強だったり、ダイエットだったり、禁煙だったり
子ども達も同じです。
テストが返却されて、友達に触発されて、先生に触発されて、様々なきっかけで「よし、頑張るぞ!」とはなります。
ただ「3日坊主」という言葉があるように、それを持続させることは非常に困難なことです。
入試という期限があって、そこで人生が変わるかもしれない受験と、たいして人生に影響のないダイエットでは重みが違う
ダイエットが続かないのと受験勉強がんばれないのは違うでしょ?と思われるかもしれませんが、根本的なところは同じです。
じゃあ本人の問題なのかというと、それだけでもありません。
努力が継続されるかどうかは環境に大きく依存します。
習慣化を支援する
このブログのテーマは「自宅でできる学習支援」ですので、ご家庭で実践できることをご紹介していきます。
まず、前提として、本人のやる気が入った瞬間を見逃さないことです。
どこかのタイミングでやる気にはなります。そのタイミングを逃さず、習慣化のサポートをしなければなりません。
いつもより勉強している日、勉強頑張るわと口にした日など、小さな変化ですが起きているはずです。
ただ、長続きしないものだから、親御さんも忘れてしまっているだけです。
やる気がおきさえすれば、スイッチが入りさえすれば、それがずっと継続されるのであれば「3日坊主」なんて言葉は生まれていません。
スイッチを入れる事より、スイッチが入った状態を継続することがとても難しいのです。
実はスイッチは結構簡単に入ります。入ったり切れたりを繰り返しているだけです。
ですから、親御さんが考えるべきはスイッチの入れ方よりも、スイッチが入った時のサポートをどうするかです。
習慣化には約2ヶ月かかる
新しい行動が習慣化するまでには、個人差はありますが、おおよそ2ヶ月かかると言われています。
習慣化するまでには大きく3つのステップがあります。
・反抗期(1週目)
・不安定期(2~3週目)
・倦怠期(4週目以降)
反抗期(1週目)とにかく続ける!
何か新しいことにチャレンジしようと始めて最初の一週間は、とにかく「やりたくない」という気持ちが湧いてきます。
この期間の離脱率はなんと42%
チャレンジ始めた人の約半数が最初の1週間で挫折します。
大人でもそうなのですから、子どもならなおさらです。
最初の一週間はとにかく続けることに意識を持っていきましょう。
勉強の内容や時間などは気にせず、1週間毎日勉強することが大切です。
1日目に2時間やって、2日目に30分で終わってダラダラしているのを見ると「頑張るって言ったじゃない!」と言いたくもなりますが、
1週間は「30分だけど、今日もやった。OK」としましょう。
特に今まで勉強してきていなかったのであればなおさらです。
まずは、1週間続ける事だけに集中しましょう。
カレンダーにシールを貼っていくなど、続いている事を見えるようにしてあげると効果的です!
そんなことと思えるかもしれませんが、騙されたと思ってやってみてください。
その際、カレンダーは家族で共有しているものがよいです。
・日々の頑張りが積みあがっている感じ「前進感」を得ることができます
・カレンダーを見れば、勉強したかどうかが分かるので、「勉強したの!?」というやり取りが不要になります
不安定期(2~3週目)ルールを作る
1週間頑張って続けたら、色々なことが見えてきます。
ここでやってくるのが不安定期。ここでの離脱率は40%といわれます。
そこで家庭の中でルールを作っていきましょう。
なぜ、ルールを作るかというと、意志力を消耗しないようにするためです。
何かを選択する時は私たちは意志を働かせています。意志は使えば使うほど消耗していきます。
継続できないのは、意志が弱いからではなく、意志に頼って頑張ろうとするからです。
できるだけ意志に頼らず自動化することが習慣化のコツです。
そのためにルールを設定するのです。
まずは、時間です。
どのタイミングで勉強をするのか、固定しましょう。
17時~19時の間など時間を基準にしても良いですし、
学校から帰ってきたらすぐに、など行動を基準にしても良いです。
一度、一日のスケジュールを書き出してみて、どこに勉強の時間を入れることがスムーズなのか話し合いをしてみてください。
次に環境です。
部屋でするのか、リビングでするのか
リビングでするのであれば、その間家族もテレビを見ないなど協力をする
一番の誘惑となるスマホは電源をきるのか、少し離れた場所に置くのか
などなど、勉強環境に関するルールを作っていきましょう。
最後に例外ルールを作ります。
実はこれが一番重要でかつ、一番作られないルールです。
この例外ルールの設定は、不安定期を乗り切るためには必須です。
環境を整えて、時間を決めても、2~3週間過ごせば、その通りにできない日が必ずあります。
体調を崩してしまった、親族で出かける予定が入った、学校行事で帰りが遅くなった などなど
様々な出来事で、せっかく作ったルールが守れない状態にはよくなります。
そのため、予めそういった場合のルールを作っておくのです。
「体調が悪い時は、勉強はせずに休むことを優先する。」
「帰りが遅くなった場合は、30分英単語の練習だけにする。」などなど
これを決めているかいないかは非常に大きいです。
勉強を続けていると必ず途切れるタイミングがきます。
大事なのは途切れないようにすることではなく、途切れた時にいかにスムーズに再開できるかです。
例外ルールを作っておかないと、「今日はできなかった、、、自分はダメだ」という負の感情が残ってしまい、
次の日再開しようとする気持ちを挫いてきます。
そうやっているうちに、あっという間に1週間がたってしまい、どうでもよくなってしまいます。
この不安定期で意識することは
いかに自動化するか、いかに再開しやすくするかを考えましょう。
倦怠期(4週目以降)変化をつける
不安定期を乗り越えると、勉強するという事自体は比較的楽になってきます。
しかし、楽観できません。
その後にやってくるのは倦怠期です。ここでの離脱率は18%
要は飽きてくるのです。
習慣化の最後の敵は「飽き」です。
飽きているものをずっと続けるのはなかなかに苦痛です。
4週目以降は、飽きを感じないように変化をつけていくことが大切です。
中学生の勉強に関しては、短期目標をおいてあげるのが良いでしょう。
定期試験や模試、英検や漢検など、定期的にイベントがくるようにスケジュールを組みましょう。
指標にするものはたくさんありますので、困らないと思います。
本人の興味関心に合わせて、目標設定を一緒にしてあげましょう。
しばらく目標にできそうなイベントがないという時は、家庭内で報酬設計をしても良いと思います。
ゲーム感覚で取り組めるよう工夫をしてみましょう。
報酬設計についてまで書くと長くなってしまうのでそれはまた、別記事で書きたいと思います。
勉強の習慣化や親子の共同作業
ここまで習慣化のプロセスをご紹介してきました。
毎日30分勉強するだけなのに、なぜできないのかと思いますが、
習慣をつくるというのは、とても大変なことなのです。
そして、ここまで読んで頂いて、親子の共同作業だと感じて頂ければ幸いです。
お子様が勉強を頑張りきれないのは、お子様の意思が弱いからではなく
今まで勉強習慣をつくるということをやってきていないからです。
受験になったら、必要に迫られたらスイッチが入って頑張るようになるというのは幻想です。
頑張りが継続できるような仕組みを家庭内で作っておく必要があります。
子どもの習慣に合わせて、ご家族の習慣も変えていかないといけないことがほとんどだと思います。
そういう意味で、習慣化は親子の共同作業なのです。
今日出来る事から是非はじめてみてください。