スタッフブログ

【読書】心理的安全性の作り方【第4章第2項】

はじめに

こんにちは。学習塾ブランチ エンジニアの樋口です。
引き続き第4章を読み進めていきます。

前項(リンク)では「言葉によって未来のみかえりと関連づけて行動をコントロールする」力について言及されましたが、
今回はその行動を「ルール支配行動」としてその詳細を紹介してゆきます。

ルール支配行動

ルール支配行動は「自身の体験から得た学びではなく、他者の言葉(依頼や命令)・体験を元に自身の行動がコントロールされること」を指します。
このルール支配行動には、「どのようなルールが」「どのような影響を与えるか」によって3種類の行動に分かれています。

1.言われた通り行動

この行動の特徴は3つです。

  • ルール通りに行動する
  • ルールには疑問を持たない
  • 行動そのものの結果からはみかえりを得ておらず、「ルールを守った/やぶった」ことに対してみかえりを得る

この行動はすぐに成果が得られない行動を続けることができるという利点がありますが、他者から与えられるみかえりに依存してしまったり、本来得られる「行動に対するみかえり」が無視されることがあります。
そうした場合は「ルール通りに行動しているように行動を簡略化する」などの行動が現れることもあり、結果として、ルールを設定した目的が形骸化してしまう危険性を内包していると言えます。

2.確かにそうやな行動

この行動の特徴は2つです。

  • ルール通りに行動する
  • 行動そのものからのみかえりを実感している

「1.言われた通り行動」と違い行動そのものからのみかえりを受け取っているため、ルールが間違っていることに気づくことができ、その際に別の適切な行動を模索できます。

3.そんな気してきた行動

「1.言われた通り行動」「2.確かにそうやな行動」と合わせて、「みかえりの力を変える行動」です。
行動に対する「好子/嫌子」を変化させることで、行動の発生確率を操作する行動を指します。

※以下に例を挙げます。
ある生徒が、大好きな数学の演習を解いていたところにそこに尊敬する先生がやってきて、「君の数学に対する情熱は素晴らしい。今後ひとかどの人物になるだろう」と言ったとします。
生徒は勉強自体を楽しんでいましたが、それに加えて自分が良いことをしているのだという実感が得られます。
この例では、「数学を勉強する」という行動に対するみかえりが強化されています。

ルールを守ってもらうには

「1.言われた通り行動」が起きるか否かは、「ルールを提示する人の影響力・信頼性に依存しますので、いままでの行動の積み重ねがその確率を左右します。
もしルールを作るだけで説明・ケアをしないことが続いたりなどすると、「言っているだけ」と判断されて影響力を失っていくため、「1.言われた通り行動」すらも発生しなくなっていくでしょう。

「2.確かにそうやな行動」を増やしていくことを考える場合は、ルールを伝える際には、ルールだけではなく「きっかけ(どういうときに活用できるのか)」「みかえり(どんな結果になるか)」をセットで伝えることが重要です。
また、メンバーがルールを守る行動をとった際、その行動から得られたみかえりを指摘してみることも有効な手段です。

ルールがうまく働かない場合は「ルールを改良」することも検討しましょう。
ルール支配行動に関する研究で、「みかえりが適切な大きさで、確実なものは従いやすい」「みかえりが小さく、確率が低いルールは従いにくい」と判明しています。
現在のルールがあまり従われなく、形骸化している場合はルールのみかえりを適切なおおきさ・確率に変更したり、負荷的な強化・弱化を用意することが実用的です。

考察・感想

今回の章を読んでいて、私が当時通っていた高校の校則を思い出しました。
進学校としてがんばっていた高校でしたが、今考えてもあまり意味のない校則(髪の長さや靴下の色など)があり、またその校則チェックなどもありました。
ただ生徒は普段はそこまで校則を遵守していたとはいえませんでした。
校則チェックの日だけきっちりとしてくる生徒がほとんどで、私もその中の一人だったと思います。

「1.言われた通り行動」で、「ルールを守ること」のみを重視しているために、その行動がもたらすみかえりを無視して
「守ることだけ」に行動を最適化している例ですね。

教室内のルールもそうですが、本来ルールはその目的が存在するはずです。
適切な学習環境を維持するためには、そのルールの意図やもたらすものをしっかりと生徒に説明し、また常に改善を試み続ける必要があるなと感じました。

次回

ここから先の章もあるのですが、ワークや導入事例などがメインになりますので、
本書のまとめは以上にしようかと考えています。
次の記事内容についてですが、予定では「進化心理学入門」か「スマホ脳」を読んでみようかなと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

-スタッフブログ