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はじめに
こんにちは。学習塾ブランチ エンジニアの樋口です。
本日は「心理的安全性の作り方(石井遼介 著)」の第3章第3項にはいってゆきます。
この章では、心理的安全性の4因子である「話しやすさ/助け合い/挑戦/新奇歓迎」について、行動分析を基にした具体的なアプローチ方法が記載されています。
例を見ながら、自分ではどうしたらよいかを考えてゆきましょう。
「話しやすさ」の行動分析
行動:話す/意見を言う/報告する/連絡する/建設的な反論を行う/たずねる/確認する/質問する/共有する/雑談する
行動に対しての反応:聞く/傾聴する/相槌を打つ/お礼を言う
会話は日常的に発生しやすい行動なので、きっかけよりも見返りを重視するのが良いです。
例:心理的安全に「ダメな報告」を受ける
・部下の報告が低品質だった場合の行動として、行動の質に対する叱責ではなく、「行動したことに対するお礼」をする
ポイントは「行動の品質」と「行動を起こすこと」を切り分けることです。
報告の質に関係なく、「報告すること」に対しては見返り(お礼)を返すことで、行動の強化を促します。
行動の品質はこれとは別軸で考える必要があります。
※「きっかけ」を重視したほうがよいパターン
「反論/異なる見解/改善点のフィードバック」など、言い出しにくいものはきっかけを重点的に考えた方が良いでしょう。
ただし、よく言われる「何でも言ってね」にはあまり意味がありません。
「〇〇について改善点を言ってほしい」などの具体的な投げかけをすることをお勧めします。
「助け合い」の行動分析
行動:助けを求める/協力を求める/トラブルやミスについて話す/相談する/お願いする/経緯を話す/これまでの対応と結果を話す/顧客訪問し謝罪への同行を依頼する
行動に対しての反応:話を聞く/方針を示す/解決策を考える/分担し対応する/業務を引き取る
助け合い因子では「きっかけ」づくりを重視するとよいです。
具体的には、相手が助けを求める「きっかけ」になりうる質問をしましょう。
例:「困ってることある?」「わかりにくいところなかった?」「悪いニュースある?」など
また、「問題解決のために報告・相談してほしい」「早めに教えてくれることで、より早く解決できる」のように伝えるのも良いです。
※「なぜ」「どうして」の代わり
実際の現場で問題について相談があった場合、「なぜそうなったのか」のような反応は多くみられます。
ただ、「なぜ」「どうして」という言葉を使う際は注意が必要です。
多くの人にとって、幼いころから「なぜ、どうして」は叱責の文脈で使われることが多い言葉なので、純粋に理由をききたかったとしても委縮してしまいます。
代わりに、「なに、どこ」を使って以下のように言い換えるなどすることで、相手に「責められているという感覚を与えない」オープンな聞き方の工夫をしましょう。
- 「なぜそうしたのか→どこで何が起きたのか」
- 「なぜこの優先順位なのか→何が大切だと考えてこれを最初に実行したのか」
- 「なぜ失注したのか→営業プロセスのどこを改善したらよいと思うか」
「挑戦」の行動分析
行動:試す/工夫する/実験・模索する/企画する/手を挙げ機会をつかむ/プロセスを変更する/アイデアを共有する/仮説検証する/新しい行動パターンを取り入れる
行動に対しての反応:挑戦を歓迎する/工夫を促す/まず承認する/機会を与える/新しい取り組みを促す/常識外れを歓迎する
挑戦は日常的な行動ではないので、「きっかけ」づくりを重視すると良いです。
まずはシンプルに「挑戦を歓迎する」ことを伝えましょう。
併せて、「失敗しても失敗から学べばよい」と伝えて行動を促します。
また、アイデアを募集する際は「何でも」では生まれにくいとされています。
「顧客の負(困っていることなど)」を何とかできないか考えるような制限を与えることで、生まれやすくなるでしょう。
※やめるべき「みかえり」、導入すべき「みかえり」
挑戦を阻害するみかえり例
- できない理由・難しい理由・リスクを並べる
- 他社事例・成功事例を過剰に聞く
- 「本当にうまくいくか」「失敗しないか」を聞く
- 小さな施策の段階で費用対効果を追求される
- 手を挙げると1人ですべてやることになり、孤独な戦いになる
- 失敗したら責任問題となるかのような発言をする
挑戦を促進するみかえり例
- チャレンジ自体を称える
- 経過・プロセスを見守る
- 結果をともに振り返り、ともに学ぶ姿勢を持つ
- 一連の挑戦を事例として組織内に周知する
中でも振り返りは特に重要な例となります。
心理的安全性の効果の1つ、「学び成長するチーム」の肝となる部分だからです。
「新奇歓迎」の行動分析
個性や自分らしさを発揮する側の行動:自分なりのものの見方・見解を共有する/強みを活かす/得意な分野の仕事を引き取り、弱い分野の仕事を委任する/自分が何を大切にしているかを共有する
個性・らしさを歓迎する側の行動:同質を求めず違いを歓迎する/多様な個性を排斥せず、1つのチームとする/個性・らしさに応じた最適配置・役割決め・様々な視点・ものの見方を歓迎する
まずは率直に、「自分の強みを発揮して、あなたらしく働いてほしい」と伝えると良いです。
そして強みを発揮しようとした行動に対して、しっかりと行動を強化する見返りを返しましょう。
また、チームメンバーが「打ち込む」「その領域では困難や逆境があっても行動できる」場所・役割を見抜いて最適に配置することで、個性・強みは発揮しやすくなります。
※やめるべき「きっかけ」と「みかえり」
新奇歓迎を阻害する「きっかけ」
- 上司の意見が絶対で個性を発揮する余地がない
- 「こうあるべき」という周囲の強い信念
- 上位役職者の頭の中にある「正解を当てるクイズ」になっている質問
- 強み弱み・得意不得意などの故人さを勘案しない悪い平等主義
新奇歓迎を阻害する「みかえり」
- 目的や達成・実現よりも、細かい手段・プロセスにこだわり指摘される
- 工夫するより言われたことをやるだけの方が評価される
- イエスマンや太鼓持ちが評価される
- 「常識で考えろ」のような異質を拒否する対応
- 理解できないとき、そこで対話が止まる
考察
全ての基本となる「話しやすさ」の行動分析が、家庭や塾でも応用しやすいと感じました。
人のコミュニケーションは会話が基本である以上、それを促すことで家庭内・塾内の関係性をよりよく保ちやすくなると思います。
またすべての項目に関連しますが、「シンプルにこうしてほしいと伝えること」と、「その行動に対してお礼をいうこと」は始めやすいアプローチですね。
例えば定期テストで思ったより良くないテストを見せてくれたとき、まずは「教えてくれてありがとう」と伝えるようにするだけで、関係性はかわってくるのではないでしょうか。
次回
次回は第4章に入る前に第3章ついてまとめていく予定です。
内容の濃い章でしたのでどこまでまとめられるか自信はありませんが、なるべく重要な部分を抽出してシンプルな記事にできればと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。