こんにちは。学習塾ブランチ講師の西原です。
私は前職でCDA(キャリアカウンセラー)の資格を取得しました。
その際にいくつもの理論を学ぶのですが、そのうちの一つにマイクロカウンセリングというものがあります。
1990年代にアイビイがまとめたカウンセリングの技法です。その技法は階層表にまとめられており、実践でも使いやすいな感じたものでした。
これは親子間でのかかわりの中でも使いやすいものだと思いますので、数回にわたって「マイクロカウンセリングのすすめ」をテーマに書いていこうと思います。
今日はその1回目「かかわり行動」についてです。
「傾聴」という言葉は皆さん聞いたことがあると思います。
では、傾聴している状態とはどういう状態でしょうか?
相手の話をしっかり聞いている状態?
相手に寄り添っている状態??
どれも正しいですが、これ以上具体的な説明を求められると困りませんか?
今日はこの傾聴、"聴くという行動"について深く考えていきましょう。
視線
かかわり行動は4つに分類されます。
その一つ目は視線です。
お子様と大事な話をするとき、お子様の目を見て会話できる状態にしていますか?
家事をしながら話していませんか?
お子様はスマホを触りながら話していませんか?
視線を向けるということは「あなたの話をきちんと聞くよ」というメッセージでもあります。
私も息子との会話でついつい、PCを見たまま話すときがあり、しまった!と思うことがあります。
意識して過ごしてみると、意外と視線を合わさないまま会話をしているものです。
いつもいつもそうする必用はありませんが、しっかりと話をしたいときは
子どもの目線の高さに合わせて、視線を合わせることを意識してみましょう。
身体言語
かかわり行動の2つ目は「身体言語」です。
身体言語とは身振りや手振りなどの身体から伝わるメッセージのことです。
1つ目の「視線」と重なる部分もありますが、からだの向きはお子様の方を向いていますか?
視線は合わせていても、体の向きが違う方向を向いている(首だけ回している)場合、
場面によっては「急いでいる」「忙しい」というメッセージを発しているように受け取られるかもしれません。
身体をお子様の方にしっかりと向けることで「今からあなたのために時間を使うよ」というメッセージを伝えることができます。
「子どもがなかなか話してくれない」という相談も受けますが、
まずは、こういったところを丁寧に意識してなおしてみましょう。
お子さんの態度も変わってくるかもしれません。
からだの向き以外にも、手振りはあるか、体の傾き(前傾姿勢か後ろにそっているか)、顔のうごき(眉や目)、手の状態(にぎっているか、開いているか)など、色々な身体の場所から私たちはメッセージを発しています。
これらを感じ取って、「今日は機嫌が悪そうだ」「何かいいことあったのかな?」など判断しているわけです。
話をちゃんと聞くよと伝えたい時は、
①相手にしっかり身体を向ける
②前傾姿勢をとる(相手に興味があることを伝える)
②視線の高さを揃えるか、自分を下にする
③手は組まず、オープンにしておく
こういう姿勢をとると、相手にとっては話しやすい状態になりますので、
お子様との対話の際に是非試してみてください。
声の調子
3つ目は「声」です。
話すスピード、声の大きさ、声の高低の変化でも話しやすさは変わってきます。
ここはあまり難しく考えず、"相手のトーンに合わせる"と覚えてください。
例えば、子どもが小テストで満点をとったことをお母さんに報告しにきたとしましょう。
きっとお子さんは、いつもより高く大きな声で報告をしてくるでしょう。
「お母さん見て!満点取ったよ!」と。
その時に、
お母さんが、低く小さな声で(しかも目も合わさず)、「すごいわね」と伝えたとすると、
子どもはどう感じるでしょうか?
きっと、「あ、お母さんは小テストに興味ないんだな」と感じると思いませんか?
そうすると、次の小テストの後、お母さんに報告しようと思うでしょうか?
ならないですよね。。
お子様が何か報告をしてきた時は、同じトーンで返すことを意識しましょう。
言語的追跡
最後の4つ目は「言語的追跡」です。
言語的追跡、難しい響きですが、「相手の話をよく聞き、自然にそれに応えること」とされています。
新しい話題を誘導する必用はなく、相手の語った話題に関心をむけるということです。
こちらからけっして話題を飛躍させてはならないともされています。
つまり、①お子様が話していることを遮らず
②お子様が話している話題について質問や対話をし
③違う話題にこちらから移さない
ということです。
これ意外と難しいのです。特に③。
ついつい「あれはどうなの?これはどうなったの?」と自分の興味関心で聞いてしまいがちです。
確認をするときはそれでも良いのですが、子どもの話を聞き出したいという時は、
自分の興味はぐっとこらえて、子どもの話に関心を向けることを意識します。
子どもと会話している時、今は自分の興味で話していないか?子どもの興味に寄り添っているか?
と自問自答しながら関わりましょう。
ここまで4つのかかわり行動を紹介しました。
どれも特別なことは何もしていません。
しかし、いつもできているかというとなかなか難しいことです。
普段の会話から意識してみることから始めましょう。