スタッフブログ

【読書】心理的安全性の作り方【第2章第2項】

はじめに

こんにちは。学習塾ブランチ エンジニアの樋口です。
本日は「心理的安全性の作り方(石井遼介 著)」の第2章第2項を読み進めてゆきます。

この項目では心理的柔軟性の3要素のうちの1つ目、「変えられないものを受け入れる」ことについて、変えられないものを受け入れるとはどういうことか、それはなんのために行うのか、どうすれば受け入れられるのかが書かれています。
心理的柔軟なリーダーシップをもって心理的安全性を高める働きかけを行うために、しっかりと内容を把握してゆきたいと思います。

変えられないものを受け入れる

ここで変えられないものとは、直面している困難な状況やトラブルのことそのものではなく、それによって発生する「思考や感情」を指します。
物事を進めるうえで困難や障害は何度も立ちふさがるものですが、困難な思考・感情を受け入れるトレーニングをしていないと、その度にやらなくてよい理由を探したり、ネガティブなメッセージを発信してしまったりするかもしれません。

困難な思考・感情を受け入れるために重要な観点は次の2つです。

  • 「思考=現実」から脱出すること
  • イヤな気持ちをコントロールせず、受け入れること

この観点を意識し思考や感情を受け入れることで、思考や感情が「行動の足をひっぱらなく」なります。

外せない色眼鏡

「思考=現実」とは、「自分がバイアスを通して世界を見ている」と自覚していない状態です。

バイアスとは「傾向」「先入観」を意味する言葉で、これは思考・言語・文化など様々なものが影響して作られています。
自分が何かを認識したとき、「それはバイアスがかかった現実である」「自分はこう感じているが、実際の現実がどうかはわからない」と少しでも自身のバイアスに自覚的になることで、「自身の思考より現実のフィードバックを繊細に受け止める感受性を高める」ことができます。

例えばこの色眼鏡に気が付くチャンスとして、「どう考えてもそれはおかしい」と思った瞬間があります。
相手の言動・人格などを否定したくなった瞬間、自分が善で相手が悪だと思った瞬間です。
大体の場合は「そのタイミング・その行動が自分の期待にそぐわなかった」「それが複数回繰り返された」だけですが、そのようなとき人は自分の正義を証明し、相手に非を認めさせたくなります。

この労力はチームが目的を達成する上で無駄になり、視野がせばまり、余計な思考にリソースをとられるという点で、「役に立つ行動」ではありません。

こうしたときは問いをかえることで二元論的な思考から脱することができることがあります。
行動・主張の背景を想像し、あるかもしれない他の可能性について問をたてることで、状況をより多様に解釈することができるようになります。

イヤな気持からは目をそらせない

人間だれしも嫌な想いはしたくありません。ネガティブな気持ちにさせることはなるべく避け、いやな気持になってしまったらそれを忘れたり、気を紛らわせたりしようとします。
チームメンバーがこの「感情をコントロールしようとする戦い」に終始してしまうと、本来チームの成長や目的達成へと向けられるべきエネルギーをそちらに使ってしまいます。

これらによって発生する問題を解決するためには、「イヤな気持のコントロールをあきらめ、自ら進んで味わうこと」が必要です。

イヤなものがすべて排除された安楽な状態とはありもしない幻想だと認め、前向きにあきらめることで、「思考は思考として、感情は感情として、感覚は感覚として、記憶は記憶として」体験し、共にあろうとすることができるようになります。

考察

バイアスを完全にはずすことはおそらくできないんだろうと思います。
「自分はバイアスを自覚し、完全に外すことができる」という認識そのものがバイアスになるからです。
常に「この認識にはバイアスがかかっているかもしれない、現実は違うのかもしれない」と自問し続ける必要があるかなと思いました。

このバイアス、親子間など長く一緒にいる人間関係ではより強固なものができているのではないでしょうか。

「うちの子はこういう性格だから」「お母さんはどうせこう考えているから」

こんな言葉が、塾ではよく聞こえてきます。
これらもバイアスの一種であり、「本当は相手がどう考えているのか」「そのようにふるまっている背景はどんな可能性があるか」とより多角的に想像する練習をすることで、家庭内の心理的安全性を高められるかもしれません。

イヤな気持については自分でもよくあるのですが、「この仕事やりたくないな、面倒だな、苦手だな」と思ってしまい、なかなかやらなければならないことに手がつかないことがあります。
子どもが宿題や家庭学習をやりたくない心理と似ているのではと思うのですが、これも「イヤな気持ち」と向き合わず、回避しようとうことで余計なエネルギーを使ってしまっていますね。

「自分はイヤだと感じている。この気持ちが完全になくなる世界は幻想である。配られたカードでうしかない」と前向きにあきらめ、まずは自分から「イヤな気持を味わって」見ようかと思います。

次回

今回は第2章第2項を読みました。
変えられないものを受け入れることで感情との闘いでエネルギーを浪費することを避け、しっかりと必要な行動をおこせるようになるという話でした。
次回は第2章第3項について読み進めていく予定です。
心理的柔軟性の第2要素、「大切なことに向かい変えられるものに取り組む」の掘り下げており、今回を踏まえて、下がったハードルで「どんな行動を起こすか」の話になります。

ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。

-スタッフブログ