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【読書】心理的安全性の作り方【第1章/第3項】

はじめに

こんにちは。学習塾ブランチ エンジニアの樋口です。
本日は「心理的安全性の作り方(石井遼介 著)」の第1章/第3項を読んでゆきます。

前回、心理的安全性が以下の4因子によって成り立っていることを把握しました。

  • 話しやすさ因子
  • 助け合い因子
  • 挑戦因子
  • 新奇歓迎因子

本項では実際にチーム内の心理的安全性を高めるにあたって、どのような段階を踏んでアプローチしていくことが効果的かが書かれています。
家庭での心理的安全性を高める具体的な方法につながる重要な項になりそうです。

第1章/第3項:変革の3段階

著者は心理的安全性について変革をもたらすには、次の3段階があると示しています。

  • 構造/環境
  • 関係性/カルチャー
  • 行動/スキル

それぞれの詳細は次の通りです。

行動/スキル

チームメンバー一人ひとりの行動や、的確な行動を起こせるかどうかを見る段階です。

具体的なアプローチ方法は第3章、第4章で記述されます。

3段階のうちで最も変えやすいため、最初にアプローチする部分です。

関係性/カルチャー

行動/スキルが積み重ねられた、チームとしての習慣・行動パターンを指します。

アプローチ方法は第2章、第4章で記述されます。

行動/スキルの変革の結果として変わる部分であり、この書籍の目的は「関係性/カルチャー段階で心理的安全性を高めること」とあるので、実質的な最終目標はこの段階です。

構造/環境

組織構造やビジネスモデル、社会・文化など、「直接のアプローチが難しいもの」が該当します。

最も変えにくいため、多くの場合「前提」として認識することになります。

この項では前提となる「構造/環境」について、さらに詳細に解説されています。

前提を正しく捉える

構造・環境は、大きく分けて次の4つに分類されると記載されています。

  • パワーバランス
  • 階層構造/権力格差と承認プロセス
  • 職種とビジネスプロセス
  • 業態上の制約

それぞれの詳細は次の通りです。

パワーバランス

関係者間の力関係で、「代わりが居ないほどに強く、シェアが広いほどに強く、売り上げが大きいほどに強く」なっていきます。

例としては「発注者と受注者」「本社と支店」「営業チームと管理部門」などが挙げられ、強い立場と弱い立場でコラボする場合は、強い立場にある側が心理的安全性を作ってゆく必要があるとされています。

階層構造/権力格差と承認プロセス

組織構造などによってつくられる、意思決定プロセスの多さが心理的安全性に関わります。

プロセスが多すぎる場合、「話しやすさ因子/挑戦因子/新奇歓迎因子」に悪影響を与えるとされています。

職種とビジネスプロセス

プロセスの裁量や自由度が高いほどに心理的安全性が高くなります。

影響する因子は「話しやすさ因子/挑戦因子」で、裁量や自由度が低いプロセスでも心理的安全性を高めるには「助け合い因子/新奇歓迎因子」を通じた役割分担などを検討すると良いでしょう。

業態上の制約

工場ではマスクをつけなければならない、海外支店との会議で英語を使う必要がある、などの制約によって、コミュニケーションが阻害されることで心理的安全性が下がることが考えられます。

これらの中で、「パワーバランス」と「階層構造/権力格差と承認プロセス」については様々な活動の結果として変わることがあるかもしれまんせんが、「職種とビジネスプロセス」「業態上の制約」については「前提として、その中でなにができるか」を考えた方が良いと述べられています。

誰が心理的安全性を高めるのか

結論として、「心理的安全性をもたらそう!」と考えた人がまずリーダーとして主体的に動くことを推奨されています。
その考え方として導入するのは次の2つです。

  • 自分自身を問題に入れる
  • 自分自身の行動を振り返る

コミュニケーションは自分と相手の間に発生するものなので、「相手に問題がある。それに私は困っている」とき、自身はその問題の一部になっています。
自分は蚊帳の外から相手の問題点のみを指摘することは、内容が正しかったとしても、良い影響は与えられません。
しかし自分自身を問題に組み込めたなら、自分の行動を変化させることで相手も変わるかもしれません。
そして自分自身を問題に入れたあと、その観点から自分の反省点を振り返ることで、自らの行動を変化させるきっかけが得られます。

考察

「パワーバランス」の項目と、「心理的安全性を高めようとする人に取り入れてほしい考え方」がとても重要になりそうですね。
ビジネス上でのパワーバランスは記載している通りですが、「親と子」も一種のパワーバランスでしょうし、家庭によっては「父と母」「夫と妻」でパワーバランスが変わることもあるかもしれません。
前提としてどういったチームを規定するのか、そのチーム内のパワーバランスは前提としてどうなっているのかをしっかりとらえることは、心理的安全性を高める重要な視点になると思います。

その上で、可能であればパワーバランス的に上位の側に働きかけて、「自分自身を問題に入れる」「自分自身の行動を振り返る」考え方を取り入れてもらうことができれば、それは家庭内の心理的安全性を高める第一歩と言えそうです。

次回

今回で第1章が読了となります。
ブログを書くにあたって何度か読み返しも行っていますが、読む度に新たな知見が得られる良著ですね。
第2章に入る前に、次回は第1章の総括を書いていく予定です。

ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。

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