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はじめに
こんにちは。学習塾ブランチ エンジニアの樋口です。
今回は予定通り、「心理的安全性の作り方(石井遼介 著)」について読み進めてゆこうと思います。
心理的安全性が本当に学習環境構築へ転用できるのか、できるとすればどのように作ってゆけば良いのか。
そのあたりのヒントが読み取れれば嬉しいですね。
第1章/第1項:チームの心理的安全性とは
第1章の始めでは、心理的安全性とは何かとその前提条件、誤解しがちなポイントなどを踏まえて、心理的安全性が何に「効く」のかがまとめられていました。
いくつかの項目に分かれていますので、1つずつ追ってくことにします。
心理的安全性とは
こちらの項目は先週記事に書いた内容と重複しますので、詳しくはそちらをご覧ください。
概要としてまとめますと、心理的安全性とは「チームの中で提案したり意見に反対したりしても大丈夫であると信じられる信念」のことです。
心理的安全性の低いチームでは「やったことが裏目に出るかもしれない」と委縮したり、「怒られないための方法をなんとか編み出す」といった形でチームのリソースが使われるため、パフォーマンスが低くなってしまいます。
前提:「チーム」とは何か
ここでそもそも、「チーム」とは何でしょうか。
本書においてチームとはただの人間の集まりではなく、「互いにアイデアを生み出し、問題に取り組み、1つのゴールに向かう活動」があって、集団が「チーム」に変わっていくとされています。
つまり、ただ仲の良い人がたくさんいるだけでは「チーム」とは呼ばず、目的へ向かう活動が必要ということですね。
心理的安全性が高いと、チームがどうなるのか
心理的安全性はそもそもチームのパフォーマンスを高める要素の1つとしてGoogleが重視している概念ですが、心理的安全性を高める活動がすぐにパフォーマンスに結び付くわけではありません。
調査結果として、心理的安全性が高いチームと低いチームを比較した場合、高いチームは「中長期で」より高いパフォーマンスを示していました。
つまり、実際にパフォーマンスが高まるにはある程度の期間が必要なことがわかります。
心理的安全性は「何か」に影響し、その何かがチームのパフォーマンスを高める……この「何か」とは「チームの学習」です。
心理的安全性の高いチームでは、より「チームの学習」が促進され、その結果としてパフォーマンスが高まっていくという現象が生まれます。
なにもしなくても安全?よくある勘違いとは
さて、心理的安全性のことを考えるにあたり、非常によくある勘違いを紹介します。
心理的安全で学習が促されるチームとは、具体的にどんなチームなのでしょうか。
- 「みんな仲良しで何でも話せるアットホームなチーム」
- 「結束力の高いチーム」
- 「多少仕事をさぼっても何も言われないやさしいチーム」
結論として、これらは間違っています。
心理的安全で学習が促されるチームとは、「チームの目的のために必要な発言や試みに対して罰がない」チームのことです。
これは「心理的安全性が高く」かつ「仕事の基準が高い(妥協点が高い)」チームであることが条件とされています。
心理的安全性が高い「だけ」ではその効果は得られません。心理的安全性を機能させるには「基準の高さ」が必要になります。
育つチームは「健全に」ぶつかり合う
ただし、どんなに良いチームでもメンバーがぶつかり合うことはあります。基本的に衝突はパフォーマンスに悪影響ですが、心理的安全性が高い環境下においては「同じ課題や目的に対して、意見が衝突すること」についてのみ良い影響が得られるとされています。
チーム内を調整するにしてもすべての衝突を取り除くのではなく、「健全な衝突」は促すことでチームの成長をより促すことにつながります。
考察
第1章/第1項について内容をまとめて見ました。基本的な「心理的安全性とは」について、解像度を高めるための内容が多く記載されいる印象です。
この中でも私が気になったのは「チームとは」と「健全な衝突」に関する内容ですね。これらは心理的安全性の項目を学習環境に転用するにあたり、しっかり考える必要があると感じました。
家族はチームか
家庭には様々な目的があります。警視庁のHPでは家庭の役割を3つ(成長モデルを示す/しつけをする/心の港をつくる)としていますが、各ご家庭毎に千差万別な役割を思い描いていることでしょう。
では家庭は「何か1つのゴールに向かっているわけではない」という点でチームではないのでしょうか。
私は「家庭は複数のチームが重なっている」と考えました。「Aを目的とするチーム」と「Bを目的とするチーム」が同時にあり、その時々でどちらのチームとして動くかが変わるイメージです。
ただ各々のメンバーが「今はAに向かっている」「いやBだ」としているとバラバラになってしまいます。うまく目的を揃えることで、心理的安全性をうまく役立てられる可能性があります。
衝突は悪ではない
子どもとうまくコミュニケーションがとれない、進路や勉強について議論したいのに相手がその話題を避けている気がする。
こういったご相談はよく耳にしますが、この衝突についてももしかしたら、そこまで忌避しなくてもよいのかもしれないと思いました。
心理的安全性を高め、目的を揃えることで、こういった衝突があったほうがむしろ、子のパフォーマンスを引き出す結果になる……そんな形を作れるかもしれませんね。
次回
今回は第1章/第2項について読んでゆきました。すでに多くの学び・気づきがあり、楽しくなってきています。
次回は第1章/第2項について読み進めてゆきたいと思います。
我々もゴールデンウィークにはいりますので、このタイミングでしっかりと情報をインプット/考察し、サービスとしての質に反映させたいですね。
ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。