「子どもは褒めて伸ばすのが良い」と多くの方が聞いてきたかと思います。
一方で、受験生の保護者の方からは「うちの子は言わないとやらない」「すぐケンカになる」「いつも私が怒って勉強させている」などなど
「褒めて伸ばすなんてムリ!!」という声もたくさん聞きます。
ここで、ちょっとインターネットで「褒めて伸ばす デメリット」と調べてみてください。
まぁでるわ、でるわ、たくさん出てきますよね。
ちまたで言われているほとんどの事は、反対意見も同数あることが多いです。
こうなってくると、褒めたらいいのか、厳しく接するのがいいのか、分からなくなってきます。。。
結論から申し上げると、どちらも正しいし、どちらも間違っています。要は場面で使い分ける必要があるということです。
それを知らずに、片方の主張だけをうのみにして実践すると逆効果になってしまうことも多々あります。
そうなってしまっている親御さんもたくさん見てきました。
褒める前提として子どもをよくみる
どう使いわけるかのお話に入る前に、まず前提としてお子様をよく観察する習慣を作ってください。
勉強している時、どんな言葉を発することが多いのか
どういうタイミングで親のところに話にくるのか、こないのか
どういう話題になった時に不機嫌になるのか
よくよくお話を聞いていると、把握できていない親御さんが非常に多いです。
日常として当たり前になってしまい、日々の忙しさも相まり、気にとまらなくなっているのだと思います。
何か特別時間を割く必要はありませんので、お子さんの発する言葉、視線、表情などを意識して観察してください。
そこに必ずヒントがあります。
「今日は疲れた」なのか「今日も疲れた」を聞き分けられる程度には観察してほしいと思います。
基本は褒める
adolescents also learned preferentially to seek rewards rather than to avoid punishments, whereas adults learned to seek and avoid both equally.
The Computational Development of Reinforcement Learning during Adolescence
Stefano Palminteri氏らの研究では、大人は報酬と罰から等しく学習をするが、
思春期ではそうはならなず、青年は失敗よりも成功から学習することが多いことを明らかにしています。
ですから、基本的には「褒めて伸ばす」のスタンスに立つことが重要です。
ここで注意しなければならないのは、「甘やかし」にならないようにするということです。
子どもが何をしても「褒める」は良いとは言えません。
子ども自身が悪いことしてしまったなと感じている時に、無条件に褒めるのは「甘え」に繋がります。
「これぐらいでいいんだ」と学習してしまうからです。それを一度学習してしまうと、それを矯正するのは大変です。
子どもが褒めて欲しいと思っている時に「褒める」というのが重要なわけです。
それを見逃さないためには、親自身が「こういう場合はしっかりと褒める」という基準を明確に持っていることが必要になります。
褒め るを失敗した事例①よく見ずとりあえず褒める
実際に私が見てきた失敗事例を2つご紹介します。良い事例よりも失敗事例の方がより分かりやすいと思います。
①よく見もせずにとりあえず褒めるお母さん
受験生の親子が体験に来た時のお話です。
その子の今の学力を図るために、数学の過去問大問1(計算などの小問)を解いてもらいました。
子どもが勉強している間、お母様は用事があるとのことで外出されていました。
90分の学習が終わって、お母様が戻ってき、お子さんの現状を説明している時に起きた出来事です。
そのお子さんは大問1に出題されている10問のうち、1問しか解けていませんでした。
志望校に対して、明らかに学力が足りていない状況でした。子ども自身もそれを自覚し、少し落ち込んでいるような表情をしていました。
とはいえ、ケアレスミスなども多く、復習をしっかりすれば間に合いそうだという感覚はあり、子ども自身にも今から頑張ればまだ間に合うよという話をしていました。
そのような説明をしようと、「1問は解けていましたが、、」と結果をお見せした際、私が説明をするよりも前に
「1問も解けたのね!すごいじゃない!!」と落ち込んでいる様子の子どもに声をかけたのでした。
これを読んで、皆さんはどのような感情になりましたか?
良い気持ちにはならなかったのではないかと思います。
子ども自身は明らかに悔しそうな、落ち込んだ表情をしています。
「くそっ、ダメだった、、、」と思っているところに、「すごい!」と言われても嬉しくないですよね。
一緒に悔しがってくれたり、鼓舞してくれたり、叱ってくれた方がまだ嬉しくありませんか?
これは一例ですが、褒めてはいけないタイミングで褒めてしまった事例です。
褒めるを失敗した事例②褒めるところが無い
次の事例は褒めて欲しいタイミングで褒められなかった事例です。
②褒めるところがないと言うお母さん
塾生の保護者との定期面談の際に、あるお母さんから「褒めてあげたいけど、褒めるところが無いんです」という悩みを打ち明けられた方がいました。
「いつも意識しているんですけど、褒めるところが本当に無いんです」と。
ちょうど面談の前週に、小テストで満点取れたと教えてくれたことをお母さんに伝えました。
もしかしたら、子どもがお母さんに伝えてないだけかもしれないと、帰ったら褒めてあげてほしいとなと思い。
すると、お母さんはそのことは知っていました。
「そういえば、先週そんなこと言っていた気がします。でも、小テストで点数良くても仕方ないじゃないですか!?」と。
そのお子さんは平均点が取れていないお子さんでした。
小テストで満点をとるというのは、本人にとっては大きな出来事で、きっと嬉しかったと思います。
だから、家に帰ってお母さんに報告をしたのです。褒めてもらいたくて。
しかし、そのお母さんは「小テストで満点取っても仕方がない」と一蹴してしまったようでした。
こういった経験を何度かすると、どのような結果が出たとしても報告をしないようになります。
「テストの結果見せてくれないんですよ~」という親御さんが時々いらっしゃいますが、非常に悪い状態に陥ってしまっています。
このような状態になる前に手を打ってください。
子ども達は必ずサインを出しています。
小さなサインかもしれませんが、それを見落とさないでください。
「今日は珍しく、自分から勉強しているな、なぜだろう?後で褒めてあげよう」
「自分から勉強の話をしてくるなんて、珍しいな、何か変化があったのかな?」
子どもが褒めて欲しいタイミングでしっかり褒める
そして、本人が喜んでいる時は本人以上に喜ぶ
本人が悔しがっている時は、本人以上に悔しがる
褒めるのが良いのか、厳しいのが良いのかではなく
子どもと一緒に感情を共有する
これがとても大切な要素だと思います。