お子さんの 記憶 力について考えた事はどなたも一度はあるのではないかと思います。
今までたくさんの保護者様と面談をさせて頂き、その中で「うちの子は要領が悪い」と言われることが多くあります。
勉強を頑張っているようではあるけれども、それが結果として出てこないという意味で使われているように思います。
結論から申し上げると、効果の高い勉強法と効果の低い勉強法は存在します。
これを保護者の方が理解しておくだけでも、普段の声かえに幅が出るのではないかと思います。
前回書いたように、成績が伸び悩む子の多くは「固定的知能観」を持っている事が多いです。
そのためやり方を変える事よりも、時間を増やす方に努力しようとします。
しかし、やり方が良くない場合、時間を増やしても結果はついてきません。
そして、固定的知能観を持っているために、やっぱり自分はダメなんだ、これが自分の限界なんだと諦めてしまいます。
もちろん、個人差はあります。すぐできる人、できない人はいるでしょう。
しかし、脳の仕組みは同じです。正しいやり方をすれば、個人差はあれ、結果はちゃんとついてくるものです。
二種類の記憶と二種類の学習
記憶には2つの種類があります。
容量があり、不要になればすぐに忘れてしまう短期記憶。
容量が無制限で、長ければ永遠に忘れない長期記憶。
勉強においては、このそれぞれの特性を理解しておく必要がありますが、学校ではなぜだか教えてくれません。勉強のやり方もろくに教えてもらっていないのに、成績が悪ければ、もっと勉強しろと怒られるのは理不尽だなと思います。
記憶に2つの種類があるように、学習にも2つの学習があります。
インプット学習とアウトプット学習です。
新しい知識を頭に入れるのがインプット学習。学校で授業を聞いたり、本を読んだりなどの学習です。
頭に入れた知識を外に出すのがアウトプット学習。問題を解いたり、友達に解説したりなどの学習です。
それぞれ短期記憶と長期記憶に繋がるのですが、どういう組み合わせだと思いますか?
実は
インプット学習は短期記憶に
アウトプット学習は長期記憶に
つながりやすいのです。
つまり、勉強しているのに成果が出にくいという生徒の多くはインプット学習ばかりやっていて、アウトプット学習をしていないのです。
例えば、一生懸命に教科書にマーカーを引いたり、教科書を読んだり、ノートに写しても、それは全てインプット学習なのです。
今やっている学習がインプット学習かアウトプット学習か見分けるには「思い出そうとしているかどうか」を確認してください。
アウトプット学習は自分の脳にアクセスし、必要な知識を引っ張り出す工程があります。「あ~、なんだったけな、これ」と考えている時間です。
その後に、答を思い出したり、答合せ中に「あ、これだ!」という瞬間に記憶が定着していくのです。
記憶 定着に良い インプット学習とアウトプット学習の黄金比
とはいえ、何も知識がない状態ではアウトプット学習のしようがありません。
大事なのはバランスです。
インプット学習とアウトプット学習の時間比は1:2を目安にしましょう。
1時間勉強するのであれば、20分は教科書読んだり、音読したり覚える時間(インプット学習)、その後は自分で暗記チェックをしたり、問題を解いたり、思い出す時間(アウトプット学習)をするようにしましょう。
実は、これほとんどの人が一度経験しているのです。
それは九九です。小学2年生のとき、九九が全部言えるまで練習したと思います。その時の学習を思い出してください。
マーカー引いてましたか?引いてないですよね
何回か練習したら、目をつぶって、全部言えるか確認したり、親にチェックしてもらったり、何も見ずに全部言えるまで繰り返しアウトプット学習をしていませんでしたか?
それができたということであれば、皆様のお子さんも暗記は必ずできるということです。
ご家庭でできること
短期記憶、長期記憶、インプット学習・アウトプット学習の性質を念頭に入れて頂き、お子様の自宅での学習を思い出してみてください。
改善点があれば、上記の視点でアドバイスをしてあげてください。
固定的知能感が強いと、アドバイスを聞いてもなかなか実行しようとはしませんので、最初は保護者の方のサポートが必要かもしれません。
小さな成功体験を積ませることで、取り組み方にも変化が出てくると思います。
【効果の出にくい学習法】
①教科書をただ読む
教科書を7回読め!というような書籍もありますが、ただ7回読めとは書かれてはいません。
最初数回で全体像を把握し、後半は要約しろとなっているはずです。
最初数回でインプット学習をし、後半は要約というアウトプット学習をしなさいと言っているわけです。
教科書を全く読まなくても良いわけではありません。1回は少なくとも音読しておいた方が良いです。
しかし、教科書をずっと読んでいても覚えないよということです。
②マーカーを引く
蛍光ペンで大事なところにマーカーを引くというのは皆さんやったことがあると思います。
しかし、マーカーを引いただけでは長期記憶にはうつりません。
付箋を貼っているだけのようなものです。
マーカーを引いた部分で単語帳をつくるなり、暗記マーカーで隠すなり、その後の学習とセットにして初めて効果があります。
子どもの教科書がカラフルな時は、気を付けてください。
③教科書をうつす、答を教科書から探す
書きうつすという勉強もインプット学習に入ります。右から左に移しているわけですから、「思い出す」という要素はありません。
時間がかかる割に、ほとんど記憶には残りません。
書き写すぐらいであればまだ音読の方が良いでしょう。
また、ワークを答えをうつさずに、教科書を見ながら解く子もいます。
一見真面目なように見えますが、学習法としては一番効率が悪いです。
教科書から答えをさがすか、解答を丸写しするかの違いで、答をうつしていることには変わりなく、ほぼ記憶には残りません。
それで時間がなくなるぐらいであれば、答は丸写しして、生まれた時間でアウトプット学習をした方がはるかに結果につながります。
勉強しているのに結果がなかなかついてこないとお悩みの親御様、伸び悩みの原因は必ずあります。
お子様の学習の様子を観察して頂ければと思います。何かしら参考になれば嬉しいです。